「接客」と「接遇」という言葉は、似て非なるものです。接客という言葉は接客業という言葉にも表れており、お客様に直接関わって仕事をすることを言います。
そこで求められるのは、一時のやり取りにおいて問題を起こさず、お客様の気分を損ねないようなマナーです。いわば、印象がマイナスにならないように気を付ければ大きな問題にはならないでしょう。
では、介護職についてはどうでしょう。介護職が接客業であるという点について違和感を覚える人もいるかもしれませんが、利用者と直接に関わり、生活のサポートというサービスを提供する介護職はれっきとしたサービス業であり、接客業といえるでしょう。
しかし、そこで求められるマナーは「接客」ではありません。なぜなら、介護職の仕事とは老後の生活がより快適で、安心したものにすることだからです。しかし、介護サービスを利用する方は身体的・精神的に何らかの苦労を抱えていることが多いので、単に現状維持の接客では満足のいくサービスを提供したとは言えません。
そこで求められるのが、「接遇」という考え方です。接遇の「遇」には、「もてなす」という意味があります。相手を大切なものとして尊重し、敬い、自分にできる限りの形でもてなすことが接遇なのです。と言ってもそこまで大げさなものではなく、基本となる挨拶、身だしなみ、言葉遣い、態度、表情の5つに気を付けることが、接遇の大事なポイントなのです。
特に言葉遣いについては、簡単なようで誤用してしまう介護職も少なくありません。正しい言葉遣いを知り、利用者にとって満足度の高い介護を提供しましょう。